突然遺産分割調停を起こし、遺産不動産の死亡後のリフォーム代等を遺産から支出すべきと主張する兄嫁に対し、リフォーム代は遺産から控除しないことを認めさせ、依頼者が代償金606万円を取得する内容で遺産分割調停を成立させた事例
依頼者
70代女性2名
遺産
不動産・預貯金
依頼の経緯
Aさんの兄が亡くなり、亡兄の妻である相手方、妹であるAさんBさんが相続人になりました。Aさんは亡兄と長い間離れて生活していましたので、法定相続分どおり現存する遺産をもらえればいいと考えており、遺産分割協議で相手方と紛争になるとは考えていませんでした。しかし相手方は弁護士に依頼し、突然遺産分割調停を起こしてきました。これにAさんは驚き、自分で調停に出席して相手方と交渉するのは難しいと判断し、Bさんとともに当方に依頼されました。
事情
Aさんの兄には、遺産として兄が暮らしていたマンション(査定額約571万円)と預貯金約4349万円がありました。
AさんとBさんは早期解決を希望されており、相手方が遺産をすべて相続する代わりに法定相続分である8分の1の代償金を取得できれば構わないという意向でした。
しかし、相手方は「兄の死亡後に行った兄宅のリフォーム代(約127万円)や葬儀代等合計約228万5000円を遺産から控除したうえで遺産分割すべきだ。」と主張し、調停で争う姿勢を見せてきました。
弁護士は「リフォーム代は亡兄の生前の債務ではなく相手方の債務に過ぎないので、遺産から控除することはできない。」と主張しました。
葬儀代については、遺産から支出すべき費用かどうかについて裁判例が分かれていますので、審判になった場合遺産から控除すべきという判断がされる可能性がありました。また、AさんとBさんは早期解決できるのであれば葬儀代については遺産から控除することになっても構わないという意向でした。そこで、弁護士は早期解決のため葬儀代の半額だけを遺産から控除し、AさんとBさんが代償金612万円ずつを取得するという案を提示しました。
調停での交渉の結果、相手方はリフォーム代を遺産から控除することについては断念しましたが、AさんとBさんに代償金として600万円ずつを支払うという内容で調停成立させることを提案してきました。
時間をかけて交渉すればAさんとBさんが代償金612万円ずつ取得するという内容で調停を成立させる余地は十分にありましたが、AさんとBさんは早期解決を強く希望され、早期解決できるのであれば代償金は600万円になっても構わないという意向でした。
弁護士は、早期解決というAさんとBさんの意向を実現しつつ代償金の額を少しでも増額させるため、当方と相手方の案の中間値である606万円を代償金の額とするという案を相手方に提示し、期日間に交渉しました。
その結果、代償金の額を606万円とすることを相手方に認めさせ、最終的にAさんとBさんが代償金606万円ずつ取得するという内容で調停を成立させました。
AさんとBさんの希望どおり受任から約2か月の早期解決ができました。